境内 |
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整ってはいますが、けっこう狭い境内で本堂と入り口にある石碑がかなり目立つくらいです。しかし、今昔物語などにも記されている「蟹の恩返し」の話で知る人ぞ知る寺というところでしょうか。
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観音像 |
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蟹の恩返しの話を裏付けるかのように、境内にはひっそりと観音像がまつられています。すぐ隣には観音堂があり、「蟹の身代わり観音」と称され、厄除け、特になぜか腰痛にご利益があるということで信仰を集めています。
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蟹の看板 |
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蟹の恩返しの話をモチーフにした看板が観音堂に掲げられています。蟹が蛇と戦っている様子がけっこうリアルに描かれています。蟹の縁起にちなみ、毎年4月18日には蟹供養放生会が営まれています。
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本堂 |
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蟹の恩返しとは全く関係がないのですが、本堂には国宝の釈迦如来像がまつられています。この寺のもう一つの見どころとも言うべき場所です。白鳳時代の作品で、ほぼ原形をとどめているものとしてはきわめて少ない貴重な作品です。堂々と、豊満な肉体を描き出した白鳳時代の文化の特色をよく現しています。
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- 歴史沿革
- 奈良時代以前に、秦氏の一族秦和賀が建立。のちに行基が関与し民衆の信仰を集めた。
- 「蟹の恩返し」
- むかし、このあたりに慈悲深い夫婦と1人の娘が住んでいました。ある日、村人がたくさんの蟹を捕まえて食べようとしていたのを見た娘は、蟹を買い、草むらへ逃がしてあげました。また、娘の父が田を耕していると、蛇が蛙を呑もうとしているのを見て、「蛙を放してあげたら、娘の婿にしてあげよう」と蛇に約束してしまいました。約束どおり蛇は紳士になって娘の家に現れましたが、父は大変な約束をしてしまったことを悔い、親子は雨戸を固く閉ざして蛇を拒絶しました。蛇は腹を立て、家の外で暴れ狂いましたが、娘はひたすら観音経を唱えると、娘の前に観音様が現れ、「恐れることはない」と告げ姿を消しました。間もなく外で蛇が暴れる音が消え、夜が明けてみると、そこにはこま切れにされた蛇の死骸と無数の蟹の死骸が残されていました。親子は犠牲となった蟹と蛇の霊を弔うため、お堂を建て、観音様をまつりました。
(たくさんの蟹が満ち溢れて恐ろしい災難から救われたという意味で「蟹満寺」と名づけられたということです)
- 蟹供養放生会
- 4月18日
- 交通
- JR奈良線棚倉駅より徒歩20分
- 拝観料
- 境内無料、本堂内300円
- 見どころ
- 釈迦如来像、蟹の看板
- おみやげ
- 腰痛にご利益のあるお守りが売ってます。
- 実際に訪れて
- 蟹の恩返しの話を知っているのと知らないのとでは拝観の面白みが全然違います。本堂内でも蟹の恩返しの話の解説があるので、じっくりと話をかみしめると、拝観も何か充実した感じを味わえます。本尊の釈迦如来像は滅多に見られない白鳳時代の傑作と呼ぶにふさわしい出来です。白鳳時代の作品としてあまり紹介されないのが不思議なぐらいです。
- おすすめ度
- ☆☆☆
不思議な由緒、国宝の釈迦如来像だけでもこの寺を拝観した事に満足できるはずなんですが、交通が不便なのが最大の欠点。自動車で巡っている人にはおすすめしますが、公共の交通機関には頼りがたいのがちょっとつらいです。
- こんな方におすすめ!
- 白鳳時代の作品に興味のある方
蟹の恩返しの話に興味を持った方
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京都の南行くならここ!
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